2025年9月8日、富山イノベーションベース(TOIB)は、株式会社プロジェクトタネ 代表取締役の髙平聡氏を講師に迎え、「トップが求めるNo.2像」をテーマに月例会を開催しました。
髙平氏は、ベンチャー企業からサイバーエージェントといった大手まで、幅広い組織規模での経験を経て、現在は北陸を拠点に中小企業の経営課題解決に取り組む経営者です。今回は、自身の20代から40代までの経験を通じて、“トップの隣に立つ人”として大切な姿勢を語っていただきました。

20代の経験:評価は「自分が決めるものではない」
社員10名程度のベンチャー企業で営業としてキャリアをスタートした頃、成果を出しているつもりでも評価されず、当時の社長に対して「自分のほうが頑張っているのに」とライバル視していたといいます。
少しの成功体験にとらわれ、「営業を引っ張っているのは自分だ」と思い込んでしまった。
しかし実際には、会社全体の方向性や経営課題を理解しようともせず、視野の狭い“自己完結”で動いていただけに過ぎませんでした。
当時の自分を振り返り、髙平氏はこう表現します。
「社長の期待と自分の頑張っている方向にミスマッチが生じ、真の意味での成果貢献ができていなかった」。
この経験から学んだのは、「頑張っているかどうかは他者が決める」ということ。
「上司や経営層の視点からどう映るかを意識して初めて、信頼され“選ばれるNo.2”への道が開ける」と髙平氏は語ります。

30代後半 サイバーエージェントの子会社で責任者に抜擢された際、成果を急ぐあまり、自分が着任するまでの歴史や、個々のメンバーの感情を軽視してしまった経験も。また、陰で組織を支えていた人材を当時は正しく評価できず、失ってしまったと振り返ります。
この失敗から得た学びは――
- 自分が抜擢された背景を理解すること
- “要石”となる人や文化は変えてはいけないこと
組織は成果だけでは動かず、歴史と人の思いが積み重なっている。その視点を持てるかどうかが重要と語ります。

共通する失敗の根っこ
こうした経験を振り返ると、失敗の共通点は「組織視点」と「心の理解」の欠如にありました。
- 視座の低さ(自分の視点だけで判断)
- 傲慢さ(自分の正しさを押し付ける)
- 数字偏重(人の心の理解を欠く)
- 独断専行(合意形成プロセスの軽視)
髙平氏は、「成果は手段であり、人が目的」と強調します。

最後に髙平氏は、誰もが明日から取り組める具体的な行動指針を示しました。
①上司の困りごとを聞く
「今、何に困っていますか?」と尋ね、経営の視点を理解する習慣を持つ。
②チーム文化を言語化する
自分が所属するチームの価値観や文化を言葉にして共有する。
③Fact+Opinion報告を実践する
報告時に「事実」と「自分の意見や感情」を明確に分けて伝える。
シンプルながらも、組織の信頼を得るために欠かせない習慣です。

今回の月例会は、経営者の隣で働く人が持つべき視座や姿勢を、自らの失敗談も交えて赤裸々に語っていただける時間となりました。TOIBでは、こうした実践者の学びを共有し、地域の中でリーダーを支える存在が育つ環境をこれからも提供していきます。











